「ただいま。」
「おかえり。」
おや? 元気がない。何かあったのかな。
あいりは黒い箱のようなものを落とした。
「それはどうしたの?」
私はお友達からお土産か何かをもらってきたのかと思い質問した。
「なんかとなりの子がくれた。」
うん?なにか挙動不審だ。
あいりが落としたものに近づいて見てみると、学校から借りた本だった。
あいりの手には黒いかたまりが握られている。
どうやらあいりは、この黒いかたまりを私に捨てられると思ったらしい。
給食には牛乳パックが出るが、ストローを張り付けるための接着剤に、あいりはハマっているようだ。
お友達からもらって1㎝くらいのかたまりにしている。
ぷにぷにして気持ちいいらしい。
手の垢で黒くなって汚いので以前に捨てるようにと、あいりに言ったのだ。
そういえば、私もあいりと同じくらいの頃、ふとんの綿の匂いにハマっていたなぁ。